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翻訳夜話 [書籍]

翻訳夜話

翻訳夜話

  • 作者: 村上 春樹, 柴田 元幸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 新書


柴田元幸×村上春樹の共著。

この作品は柴田元幸と村上春樹が翻訳家としての姿勢や内実を語る内容になっている。前半では翻訳家志望の学生を交え2回のフォーラムを行った際の内容が記されている。翻訳家としてある程度キャリアを積んだ両者は、翻訳家としての、あるいは翻訳もしている作家としてのスタンスから感じた事を述べている。村上春樹は当時発表したマイケル・ギルモア「心臓を貫かれて」やレイモンド・カーヴァー「カーヴァーダズン」について触れつつ、翻訳する題材の選び方やそこから本業の小説を書くという行為にフィードバックされる部分などに言及している。

次の章ではレイモンド・カーヴァーの短編とポール・オースターの短編を村上・柴田両氏が翻訳した文が掲載される。因みにオースターの短編は映画「スモーク」の原作だ。1つの短編に2つの翻訳をしているわけだが、各々の翻訳の対比を読者に目に見える形で提示し、その文章を踏まえた3度目のフォーラムが開催されることになる。

3度目のフォーラムに集まった人々は皆プロの翻訳家で、読者と同じように村上・柴田両者の翻訳した2通りの翻訳と原文を手渡され、それを叩き台にしてあれこれと両者が語っていく。ここでは村上春樹がフィッツジェラルドやカポーティについてのこだわりを述べつつも、前回前々回とは違った掘り下げ方でより専門的で具体的な翻訳へのアプローチについて語る。

翻訳された外国の書籍を手に取る機会が多い方なら興味深い内容になっていると思う。普段気にも留めないが目にしている翻訳という作業が様々な思惑と配慮でなされていることが分かるはず。ただ、読み物としては今一つといった印象。企画は面白いが内容上会話形式なので読みづらい。基本的に両氏の翻訳した作品を補完する意味合いが強いので、作品を先ず読んでから手に取ったほうが吉 。


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