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ケイゾク [TV]

ケイゾク(1)

ケイゾク(1)

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2000/06/21
  • メディア: DVD


TBSで放送されたサスペンスドラマ

1999年にTBS系列で放送され、人気故に2000年には劇場版まで公開されるに至った刑事ドラマの異色傑作。警視庁捜査一課二係配属となった新人・柴田純(中谷美紀)。二係の仕事は一係が迷宮入りと判断した数々の事件を名目上捜査継続するというもので、メンバーは基本的に閑職に甘んじている様子。だが、普段は社会常識を持たないダメ人間同然の柴田が、謎解きに関してのみは天才的な能力を発揮、次々と難事件を解明していく。ミステリマニアが嬉しくなるツボを心得たオーソドックスな謎解きミステリーとして始まりながら、シリーズ中盤からサイコスリラーへと方向性が変貌、堤幸彦ならではのテンポのいい演出や、細部に仕掛けられた細かいギャグとあいまって、魅力的かつ異様な印象を残す。 amazonより引用


演出家・堤幸彦が現在でもある種の層に“期待”される原因となったドラマ。カメラワークや映像処理と音楽、シニカルな視点のギャグで独特の世界観を作り出し、当時の風潮だった厭世観と笑いの取り入れ方とバランスが絶妙な作品になっている。当時「踊る大捜査線」が評価を受けており、そのカウンターというスタンスで製作された。

東大を卒業したばかりの新米刑事・柴田純(中谷美紀)が配属されてくるところから物語は始まる。本人は全く気づいていないが、ある程度の勤務実績を経てキャリアとしての波に乗る為の腰掛けという意味合いがあるため、ほとんど仕事の無い捜査一課二係に回されてしまう。ところがやる気の全く無い同僚を尻目に柴田は“ケイゾク”と呼ばれるいわゆる迷宮入りになった事件を次々と解き明かしていく・・・。

物語は序盤から中盤まで一話完結になっている。事件を解決しようとあちこちをうろつく柴田の監視役として真山(渡部篤朗)が同行することになり、天然ボケの柴田とシニカルな真山の掛け合い漫才が魅力の一端を担う。しかし事件はどれも救いが無く、犯人たちとのやり取りは遣り切れない後味を残す。無邪気に迷宮入りになった事件を解くことで人を傷つける柴田と、人の心の機微に通じそれゆえに犯人へ憤りを爆発させる真山の所為で、普通の刑事ドラマの硬質さは保ちつつも青臭さがあり感情移入しやすくなっている。

メインとなる事件とは別に、真山の過去というサイドストーリーが毎回少しずつ展開され、それが終盤の大きな展開に繋がっていく。そこで感じられる悪意はこの作品の色を決定付けている。物語としては荒唐無稽だが、序盤から中盤にかけての積み重ねがあるためそれほど現実から乖離した印象は受けない。むしろそのカタストロフィの心地よさを感じるほどだ。

放送時はたいした視聴率ではなかったものの、レンタル等の回転率が異常に良かったようだ。現在のクドカンドラマのような「初めから視聴率は狙わずレンタル/セルで回収する」というドラマ作りの型を作り上げた作品ともいえる。今現在観ると、少々厭世観が勝ちすぎているような印象を受け、本来のストーリーは受け入れがたい。しかし、物語の枕となる序盤のコント的やり取り、散りばめられたシニカルな笑いは今観てもなかなか良いです。


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