お茶の間 [漫画]
漫画家、望月峯太郎が描く成長記。
人生をコントロールしようとしても、スキをうかがって何かがそっと忍び寄る。花井薫と苑子君の愛のお茶の間は大丈夫!?大人気の結婚&お仕事マンガ
この漫画家の代表作「バタアシ金魚」の続編。前作は主人公が思い込みの激しさとリアクションの面白さで意中の女性に付きまとい、素顔で通しているヒロインがステレオタイプな価値観を守るためばっしばしと叩きまくるというわけの分からないコメディだったが、前作と今作の間になにがどうなっているのか理解不能ながらもその恋は結ばれ同棲中という。そんなシチュエーションから始まる物語。
“幸せな家庭を築きたい”そんな分かりやすくステレオタイプな価値観に毒され、プロになることを期待されていた大学の水泳部をあっさり辞め大手デパートに勤める主人公だが、あまりにも社会性が無さ過ぎて同僚はアイデンティティクライシスに陥る。俺のやってきたことはなんだったんだというか。ノリで勝負するなら負けないわよと対抗する女性上司すら出てくる始末で。そうは言いつつもモチベーションの起因が彼女と幸せな家庭を築きたいというものなので、こちらも全力で叩けないというか。そんな周囲の視線を省みず何かを成し遂げた感でいっぱいの主人公は、過去の清算やらで理屈でものを考えることを迫られる。
通して読むと、物事の表面だけを見て単純化することで処世を行い突っ走っていた主人公が人間の心の機微に通じていく作品という印象。ストーリーは一応あって描き方を変えれば普通にいい話なんだが、この作者の全力投球が炸裂し絵的に如何に面白いか、それだけを追求していて。だから大人が観ればそれなりに分かる年齢層高めのちびまるこちゃんというか。社会は厳しいが我を通してみると結構面白く生きられるかもしれない、そんなエールです。
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