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古畑任三郎 FINAL 第三夜 [TV]

古畑任三郎(3)

古畑任三郎(3)

  • アーティスト: TVサントラ, 本間勇輔, 丸山和範
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1999/05/19
  • メディア: CD


新春特別企画・最後の古畑任三郎。

全身黒を基調にしたファッションに、刑事にはとても見えない風貌、そしてやわらかい物腰。拳銃を持たず、暴力も行使しない。ただ己の冷静な判断と推理力、そして巧みな話術で、犯人の巧妙なトリックを見事に解き明かす…。和製コロンボとも呼ばれた「警部補 古畑任三郎」は、刑事ドラマの枠を超えて、多くのファンを魅了した。冒頭シーン、犯人の攻防場面、事件解決に至る場面など、段階ごとに古畑が視聴者に向かって問い掛ける演出は新鮮。登場する犯人役に豪華な顔ぶれを配し、古畑との対決を見ごたえたっぷりに描く。生活観を感じさせない古畑を、田村正和が独特な雰囲気の中で印象づけている。amazonより引用


三夜続いたこの企画も今日でラスト。タイトルも「ラスト・ダンス」と銘打ち文字通り“最後の”古畑任三郎の活躍を描く。もともとこの作品はゲスト(犯人)役の俳優・女優と田村正和の演技力を競う意味合いが大きかった。彼らに華を持たせる時もあれば強烈に絞り上げるときもあり。そんな田村正和演じる警部補・古畑任三郎の追い込みを受け止める彼らの演技が結局のところこの作品の一番の魅力であったというか。普通の(広義の)ミステリにおける謎を解き明かす役割を果たす人物の語り口にカタルシスを得るという楽しみ方ももちろんできるわけだが、この作品はそれ以上に犯人を・・・犯人を演ずる役者を、魅力的に描くことに腐心していたように思える。

第三夜の今回は松嶋奈々子が一人二役を演じる。双子である彼女たち姉妹。TVドラマの脚本を担当し家で黙々と書き続ける生活を送る内向的な姉・紅葉(もみじ)とマネージメントを含め外へ出て“顔”の役割を果たす妹・楓(かえで)。姉は妹との意見の食い違いで独立を考え、一方で華やかな場所への渇望を募らせ、妹に成り代わることで不満を解消しようとする。犯罪は上手く行くが、仕事の参考にするため警察関係の情報を流してもらっていた警部補・古畑任三郎の存在は彼女を徐々に追い詰めていく。

名実共にラスト、ということになる今作だが、特にコレといった大仰な演出はなされておらず、予想通り古畑任三郎というドラマの基本に立ち返ったエピソードになっている。古畑という人間の魅力、部下たちの珍妙なやり取りといったコメディの要素を強めにアピールしつつ、犯人の心情を心憎いほど汲んだ古畑の振る舞いはこの作品に一貫した独特の後味を残す。ラストだからこそ古畑任三郎の本来の魅力を・・・!という思いが垣間見える。

古畑任三郎シリーズを通して言うならば特に突出した出来栄えというわけでもないこのエピソードだが、その凡庸な感触が平熱感があり逆にいいかもしれないなぁと。結局のところ、田村正和という役者のパーソナリティを踏まえた、酸いも甘いもかみ分けつつ情や義憤などに安易に寄りかからない“大人”として人物造詣がなされており、かといってミステリにありがちな何の私的感情も込めず謎を解くことのみに特化し日常描写で魅力を補足するような探偵役でもない。犯人の心の機微を掬い取り最大限の気遣いを見せつつも職務を全うするという優しさにも似た振る舞いがこの作品を通した魅力ではなかっただろうか。TV番組として製作されたがゆえの日常感がこの作品においてはいい方向に転がっていたと思う。などとまとめてみたが、この作品がコレで終わるとはどうしても思えないのだ・・・。


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コメント 1

miyuco

>情や義憤などに安易に寄りかからない“大人”として人物造詣
この部分が古畑任三郎の大きな魅力ですよね。
「ラスト・ダンス」ファイナルにふさわしかったと思います。
でも本当に終わりにするのかな?
田村正和の実年齢だともう定年ではありますが。
もったいないです。
by miyuco (2006-01-08 21:30) 

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