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女王蜂 [TV]

金田一耕助の事件匣

金田一耕助の事件匣

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2003/11/21
  • メディア: DVD


TVシリーズ最新作。

大道寺家の美しい娘・智子の求婚者が次々に凄惨な方法で殺される連続殺人事件が発生。金田一は事件の真相が智子の過去にあると感じ、捜査を始めるのだが…。amazonより引用


名探偵・金田一耕助が事件を解き明かすミステリの古典。主人公役が代替わりしつつ現在まで定期的に新作が発表されている。この場合の新作というのはキャストを一新し撮りなおすという部分であり原作は同じ。つまり、同じ原作でありながら異なった役者による作品がいくつも並ぶことになる。個人的にもっともはまり役だったと思える石坂浩二を始め、古谷一行、鹿賀武史、片岡鶴太朗、渥美清、豊川悦司などが演じてきた主役の名探偵。最近また代替わりをして現在はSMAPの稲垣吾郎が演じている。基本的にTVの2時間ドラマとして制作されお茶の間への浸透度は高いかと。豊川悦司バージョンのみ映画として製作された。

横溝正史というミステリの大御所の作品という事であらすじ等は省略。調べればいくらでも出てくると思うので・・・。“新作”として製作された稲垣吾郎版金田一についてのみということで一つ。

結論から言うと、今作は非常に出来が良い。僕が見た限り正月特番のドラマの中で一番の出来栄えといっても差し支えない。金田一耕助という作品を洗い直し現在再現するに当たって何が足りないのか・何を残すべきかをきちんと考え抜いた上で製作されたという印象を受けた。まず既存の作品にあった薄暗い雰囲気・・・これは凄惨な事件という内容上ある程度必要悪のようなものではあったのだが、その為時折「ミステリ?ホラー?」という疑問を感じる部分を今回は「これはミステリ。しかもお茶の間に特化したもの」とはっきり断言している。具体的に言うと、セットなどに毒々しいほどの原色を散りばめ華やかさを加味し視覚的に見応えのあるようにしてある。室内の映像ではドラマの質感、屋外が映るシーンでは映像に処理をして既存の金田一シリーズのイメージから逸脱しないような映像を魅せてくれている。演出も上手く、変人ということで世間からある種乖離したような金田一像を払拭し、所々でコメディ的に描くことで現在的解釈を入れた人間味を出してある。稲垣吾郎版になってからの特徴だが、いわゆる“ワトソン役”として作者・横溝正史本人を物語に投入しており、その辺りも効いているような。そういった要素が絡み合いつつも“観ていて落ち着く”というシリーズモノの一番の売りをはずしていないのだ。

強いて苦言を呈すとするならば、緊張感というものが非常に希薄。凄惨な描写を控えたゆえに殺人のリアリティが無い。死体すらも雰囲気作りの一環のように思えてしまう。また、殺人事件の内実が年を経たドロドロの愛憎劇というのも今更感があり。原作つきなのでこればっかりはしょうがないわけだが。

ただ、今作はそれを踏まえてもなかなか良作だと思う。作り上げられた物語を包み込む雰囲気はあきらかに金田一シリーズに共通するものながら、きちんと現在の解釈あるいは価値観が加えられていたからだ。長寿シリーズだから既存のファンさえ裏切らなければ良いというような守りの姿勢ではなく、金田一の良さを伝えて新たなファンを・・・という思いが垣間見えた。


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