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陽気なギャングが地球を回す [書籍]

陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 文庫


作家、伊坂幸太郎が描くサスペンス。

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!


この作品は最初に起こった出来事・・・いわゆるプロとしての失敗の汚名を晴らし名誉挽回するというような物語になっている。ただ、犯罪者同士のネットワーク内での汚名というような俗な話ではない。彼らの人物造詣はユーモアを持ちそれなりの職業倫理を持ち美学を持っているというもので、「金が惜しいのならまた銀行を襲えばいい、俺らはプロなんだから」というリーダーの意見を尊重し、まぁあちらも同業者だしななどとシンパシーすら見せる始末。そんな風にあっさりと片付け日常に戻ったはずが・・・。

一読して思ったが、とにもかくにもミスリードが上手い。いくつかの主軸となるエピソードを散らし、割と細かく分けられた章ごとにランダムに描いていく。それが終盤になっていくにつれ・・・という展開で。物語のテンポがよくスイスイ読めるので登場人物の魅力を描いているだけかと軽く流した部分に伏線が張られていたりと。結果的に犯罪者=ギャングたちの日常と彼らの人間的魅力を描いたという印象が強いんだが、キャラクターの魅力に依存している作品ではないというか。物語としてもきちんとした品質を保っている。

二転三転する展開の妙を魅せるのが趣旨なので、筋に沿った感想を述べると読んだ楽しみが薄れるかと。ただまぁ、登場人物たちの生活感の無さと妙に上品な立ち居振る舞い、そしてリアリティの欠如という点は相変わらず。物語の構成と散りばめられた伏線の収集具合の技術を楽しんだほうがいいかと。後は雰囲気を許容できれば。まぁあれこれケチをつけながらも読後感の良さもいつも通りなので。


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