わたるがぴゅん! [漫画]
漫画家、なかいま強が描く野球漫画。
沖縄出身の漫画家・なかいま強が月刊ジャンプで連載している長寿漫画。19巻までは追っていたが、なんと今は57巻。ほとんど野球の試合ばかりという印象があるが・・・。
気弱なキャプテンが率いる東京の弱小野球部に転校してきた主人公。彼がピッチャーとなることでチームは変わっていく。“うーまくー”(やんちゃ)で“ちぶらー”(ずるがしこい)な彼は騙してからかってなだめすかしてと“駆け引き”のみで仲間も試合もコントロールしていく。理論的な戦術ではなくあくまで化かし合い、相手の性格を見抜き本質を突いていくことでどんな人間でも無理矢理コメディに持っていく、と。つまり、彼によって虚飾をそぎ落とされ本来の人間臭さが露呈されてしまうわけで。
エロも恋愛も萌えも試合展開における興奮も無いが、得点などの目に見える部分でない精神的な部分での勝負、そこを描いているような。沖縄方言が飛び交うことを抜きにすれば完全なコメディだが、試合終了後に既存の野球漫画に無い独特のカタルシスがある。例えばわたるが沖縄に居た頃に彼女をとられ復讐するために追いかけてきた“がっぱい”の強打力に目をつけたわたるは彼を野球部に引き入れ理屈の通じない彼を笑ってしまうほど手玉に取りホームランを打たせる、と。仲間だろうがなんだろうがスタンスは一緒という。主人公一人の魅力に依存した・・・ある意味オーソドックスな少年漫画というか。設定に対するリアリティなんて度外視、人間同士のやり取りでそれを描き出す、と。
しかしここまでの長寿連載になっているとは。
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