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SLAMDUNK [漫画]

スラムダンク (31)

スラムダンク (31)

  • 作者: 井上 雄彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: コミック


漫画家、井上雄彦が描いたバスケットボールを題材にした作品。

続編が熱望される認知度の高い作品。一時流行った完全版という体裁のカラー原稿を復刻した豪華本が出版、売り上げも掲載誌で“現在も”上位という。人気連載を2本抱えているので静観するしかないと。まぁ定説として現在不定期連載中の「リアル」という作品がこの作品の続編ということで一つ、桜木花道は病気療養中、流川は世界に出て・・・と。ナガノミツルという両作品に登場している人物でそれを宣言し。虚飾をそぎ落とし手触りの現実感を感じられる作風へシフトしなければ現在は伝わりにくいんではないかという配慮なんですかね。「リアル」は不定期連載であるがゆえに“本音”の意味合いが強く、だからこそダイレクトに響くわけなんですが、“肯定性”という点では同じかと。

中学時代地元の不良どもに名を馳せていたチンピラの主人公・桜木花道は紆余曲折ありバスケ部に入部。そのバスケ部は強面の主将と人の良い副将のみで持っている弱小のチームだった。ど素人の彼を地味に育て続けるが彼は身体能力の“使い道”を知らず、単純な暴力で事が済んだ世界に生きていたため“技術”という概念を知らない。まぁようするにフィールドが違えばスキルも単なる勘違いで終わってしまう、それだけの話でもあるんですが。それぞれのポジションを担う登場人物が現れ、チームが完成し。一人集うごとに試合の色が変わり・・・ようするに選手が与えた影響力が確実に見て取れるってことだが、基本は主人公であり発展途上の桜木とある種完成し知名度と評価と努力の両立した同じチームのライバル・流川の交流か。流川はひたすら個人のスキルを上げチームとしてではなく自分自身の価値を高めることに精進しているため意思の疎通という点が唯一のウィークポイント、片や桜木花道は人柄を愛され雇われてる的な。彼がスポーツの選手になるということの本質的な意味合いを知る、一言で言うとそれだけというか。モチベーションを他に求めていても関わる事柄、それを掘り下げていけば周囲によって作り上げられた“役割”の本来の意味と意図とそれに対する理解を得ると。序盤は主人公をかませ犬という位置だと知らしめるために配置された役柄だったが、彼自身の物語も掘り下げていく。集っていくチームメイトたちは登場の際自己紹介代わりのエピソードをかましてあるが、もともといたセンターフォワードのキャプテン赤木、スモールフォワードのメガネ君こと小暮、そして点取り屋としてのパワーフォワードの流川、彼らのサイドストーリーを語る。その共通点は“継続”することの難しさ、と。

印象に残ったのはやはり最後の試合。名実共に伝統のある“常勝”を掲げる高校バスケの名門・山王工業。全国大会に出て地道に実力をみせ評判を獲得していた流川は、相手側のパワーフォワード、同じポジションであり山王始まって以来の“天才”と呼ばれる選手・沢北と対峙する。スキルの方向の類似性、そしてそのすべてで完全に上を行かれている彼になすすべもなく手玉に取られていく流川。主人公・桜木が惚れているヒロインで流川のファンである春子のモノローグ、積み上げてきたもの(技術も自信も名声もプライドも)がすべて壊れていってしまいそうだ、それが。個として生きることを選んだ彼のよりどころ、それがすべて失われると。ご丁寧に沢北の過去まで描写し、彼が性格まで似ていたことをに匂わせる。つまり、彼は個人主義の流川の到達点、“大人”として配置されているわけで。

地味に観察しつつ絶対に認めなかった主人公・桜木花道の成長を最後の最後で流川が認めるところで物語は終わる、と。当時のハッピーエンドとバッドエンドの極端さの中で“現実”を踏まえたエンディングにしたことで・・・って当たり前の話か。すみません。個人的に好きなキャラクターはオールマイティープレイヤーで中学時代MVPをとり鳴り物入りしたものの怪我に泣き普通にグレつつなり切れずどこか間抜けな不良に成り下がり、取り巻きの暖かい善意と敵側の気の利いた配慮でバスケ部に戻りつつ、ブランクに負い目を感じ“先輩”としての視点で後輩をコントロールする役割を自ら請負い・・・。ようするに、自分の才能の枯渇、それを自覚して立場をシフトした彼がチームメイトとプレイすることで意識はそのままに成長している、と。監督の安西先生の言葉がそれを肯定し。

先日企画で“最終回直後”を作者自身が描き、時間軸を2005年に設定しなおしてあるので、もしかしたらもしかするかもと期待を。


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