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さよなら絶望先生 3 [漫画]

さよなら絶望先生 3 (3)

さよなら絶望先生 3 (3)

  • 作者: 久米田 康治
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/17
  • メディア: コミック


漫画家、久米田康治が描く風刺漫画。

絶望の中に極上の笑いあり!言いたいことは全て言う、糸色望の絶望授業は今日も変わらず絶好調!!絶望先生こと糸色望率いる2のへ組の2学期が始まった! 校内、校外問わずますます磨きがかかる先生のネガティブ授業。でもなぜか納得しちゃうから不思議です。大人が言わないホントの事を、あえて言っちゃう自爆コミック、いよいよ第3集が登場!


この作者の代表作ともいえる前作「かってに改蔵」で作り上げたスタンスを踏襲した作品。風刺のきつさ・・・というかもはや普通に悪口なんだが、それが魅力のメインになり物語はあくまで枝葉という。

わかりやすく昭和の文学に感化された教師・糸色望は、まぁいわゆる“滅びの美学”だとか“ステレオタイプな作家像”に心酔していて・・・とはいっても特定の作家が一瞬で想起されるんだが・・・、その美学で美しき師弟愛やらの自分の価値観を社会に向けて提示している、と。ところが正直今は平成で多種多様な生徒がいて彼のヒロイックでナルシストなキャラはまったく通らず、事態を収拾するために必死で弁明する際の“素”の意見、相手に向けて説得しているがはたから聞いていたら失礼極まりない風刺を例えに出している、しかもそこまでするほどお人よし、と3種の笑いを1コマに、という。また、生徒と接するときには画像通り着物を着て自己表現をしているが地元に帰れば普通にファッション誌を参考にした格好をして街をうろつきそれを生徒に見つかるという。生徒も生徒で普段はまったくその部分には触れていない=意図的にスルーしているのにここぞとばかりに「先生を信じていたのに!」と心にも無い熱演を。

風刺のネタが旬のものばかりなので鮮度を多少考慮しないといけない部分もあるが、その辺りは主人公が生徒に影響されて微妙にキャラが変わっていっている部分で補完、というか。絶望からさよなら、と。なるほど。


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わたるがぴゅん! [漫画]

わたるがぴゅん! (19)

わたるがぴゅん! (19)

  • 作者: なかいま 強
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1990/09
  • メディア: 新書


漫画家、なかいま強が描く野球漫画。

沖縄出身の漫画家・なかいま強が月刊ジャンプで連載している長寿漫画。19巻までは追っていたが、なんと今は57巻。ほとんど野球の試合ばかりという印象があるが・・・。

気弱なキャプテンが率いる東京の弱小野球部に転校してきた主人公。彼がピッチャーとなることでチームは変わっていく。“うーまくー”(やんちゃ)で“ちぶらー”(ずるがしこい)な彼は騙してからかってなだめすかしてと“駆け引き”のみで仲間も試合もコントロールしていく。理論的な戦術ではなくあくまで化かし合い、相手の性格を見抜き本質を突いていくことでどんな人間でも無理矢理コメディに持っていく、と。つまり、彼によって虚飾をそぎ落とされ本来の人間臭さが露呈されてしまうわけで。

エロも恋愛も萌えも試合展開における興奮も無いが、得点などの目に見える部分でない精神的な部分での勝負、そこを描いているような。沖縄方言が飛び交うことを抜きにすれば完全なコメディだが、試合終了後に既存の野球漫画に無い独特のカタルシスがある。例えばわたるが沖縄に居た頃に彼女をとられ復讐するために追いかけてきた“がっぱい”の強打力に目をつけたわたるは彼を野球部に引き入れ理屈の通じない彼を笑ってしまうほど手玉に取りホームランを打たせる、と。仲間だろうがなんだろうがスタンスは一緒という。主人公一人の魅力に依存した・・・ある意味オーソドックスな少年漫画というか。設定に対するリアリティなんて度外視、人間同士のやり取りでそれを描き出す、と。

しかしここまでの長寿連載になっているとは。


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Dr.コトー診療所 [漫画]

Dr.コトー診療所 19 (19)

Dr.コトー診療所 19 (19)

  • 作者: 山田 貴敏
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/05/02
  • メディア: コミック


漫画家、山田貴敏が描く医療ドラマ。

満足に医療設備も揃わぬ絶海の孤島に、一人の若き天才外科医が舞い下りた時、奇跡のドラマの幕が上がる!! 感動必至の離島医療物語。


近年ドラマ化された離島を舞台にした医療モノ。実在の人物をモチーフに、数話完結の“医療”という表現手段を用いてヒューマニズムを描き出す。近々単発でSPドラマとして放送されるという噂も。

人口の少ない離島に東京の病院から赴任してきた医師・五島健介。牧歌的に医者としての職務を全うしようとするも、突きつけられた現実は。ろくな医師が派遣されてこなかったため島民の医師への信頼は無く、診療所に詰める看護婦・彩佳ですら「治療は6時間かけて本島まで船で行く。ここでは診断するだけでいい」と述べる。田舎特有の余所者への冷たい視線を受け、彼はまず信頼関係を築くことから始めていく。

序盤からのそういった物語が一段落すると、彼の医師としての技術と生命に対する姿勢を描き、そこから数話完結でブラック・ジャック的アプローチを魅せ、離島で暮らす人々との交流がメインになっていく。ドラマのほうはその中の人間関係に焦点を当て描いていたが、この作品ではもう少し描写に現実味を持たせ掘り下げ、なおかつ牧歌的に仕上げてある。離島医療の現実よりも離島そのものの実情と暮らしと良さを描いてあるような。

描写や展開が巻を追うごとに厳しくなっていくのは気のせいだろうか。サザエさん的“物語内では時間が止まっている”アプローチではなく、登場人物は年を取り島の事情は流動的で子供たちは成長していく。それゆえのことかもしれないが、なんだかケレン味が過ぎるんじゃないかと思う。画風の中和が追いつかなくなっているような。この漫画家の本来の作風、柔らかな絵柄で厳しい現実を切り取ることで訴えかける力を増すというものだが、実在の人物をリサーチした上で描き出した中盤までと、そこから今までの展開に乖離が見られるような。ここからはいわゆる“自分の作品”として作り上げる、そういうつもりならば見守るしかないところ。


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ラストイニング 9 [漫画]

ラストイニング 9 (9)

ラストイニング 9 (9)

  • 作者: 神尾 龍
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/03/30
  • メディア: コミック


漫画家、中原裕が描く高校野球漫画。

汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ! かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ヶ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!!


ラストイニング(最後の打席)と銘打ったこの作品。上司にはめられ職も金も女も失ったペテン師営業マンである元高校球児が古巣の野球部存続の危機で召集され監督に就任、次の職までの腰掛けと言いながらも、彼にとっての監督であった現・校長の期待通りに現役時代通りの理論的な戦術と、当時の清廉さと引き換えに得た今までの経験から来る策謀戦術で部員たちを甲子園へ導いていく。

この巻では春の大会の試合の模様が中心になっている。新設校でありながら、少年硬式野球全国大会ベスト4のチームをそのまま吸収した無名校・秩父優明館を相手に苦戦を強いられる。彩学の監督である主人公・鳩ヶ谷の「勝たなきゃ意味が無い」という信条と正反対の「負けて得たものが財産になる」という信条を掲げている優明館監督・玉川のユーモアを混じえながらも魅せる頭の切れと抜群の采配、前提条件が違う両監督の“頭脳戦”、この作品の魅力の質はまったく変わっていない。

抱えた選手たちの指導とスキルアップは打ち止め、この実力でどこまでいけるかという部分が鍵となる。しかし試合前に出会った玉川の「春の大会は夏のシード権さえ勝ち取れば敗退してもいい。下手に勝ち進んで手の内を見せることは無い(実力を露呈することは無い)」という言葉が鳩ヶ谷に響く。実力を見せれば注目されデータが残っている以上研究され攻略される可能性がある、その示唆、それに思い当たり鳩ヶ谷は戦略から選手個々の能力で打開する方向へシフトする。

少し間のある適度な緊迫感と情緒をはさまない演出で安定した品質を届けてくれる作品。前作“奈緒子”での牧歌的で純粋で叙情的なアプローチとはある意味真逆の面白さが。


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MONSTER [漫画]

Monster (1)

Monster (1)

  • 作者: 浦沢 直樹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1995/06
  • メディア: コミック


漫画家、浦沢直樹が描くサスペンス。

浦沢直樹が世紀末に発表したドイツを舞台にした作品。当時“Happy!”というテニスを題材にした作品と並行して連載されていたが、テーマはほぼ同じ、“不遇の人物へのエール”で。

日本から来た医者Drテンマは大病院に勤めながらも派閥や処世にやりきれなさを感じていた。医者という職業にステレオタイプな理想像を描き出しその理想に少しでも近づけるよう患者と接する卓越した技術を持つ若手。しかし、人情を打ち出すことで結果的に患者やスタッフからの評判が上がり、そこに技術=実力が伴うことで院長に目をつけられ、彼の持ち駒になるようにあれこれ画策され・・・彼の娘との婚約による地位の保証やら彼名義で論文を書かされたりと自分の理想とは違った処世に違和感を感じる。そんなある日、頭に銃弾を打ち込まれた少年が急患で担ぎこまれオペで彼を救う。その直後院長は何者かに毒殺され、結果的にテンマは出世、彼の理想と現実は一致する。そして数年後、ふとしたきっかけで成長した少年・ヨハンと再会し、「僕の命を助けてくれたのであなたの人生の邪魔になっていた彼を殺してあげた。恩返しとして」と告白し彼は消える。

ヨハンが時折現れ目の前で起こす惨劇、それを食い止めるため・・・、まぁようするに自分の美意識とモラルと生き様を肯定するためってことだが、紆余曲折あり警察に疑われ追われる事になったテンマは自分が手術で救った子供が連続殺人犯となり手足を使いさまざまな犯罪を犯している事実、そしてその“責任を取るために”、つまりヨハンを殺すために“逃亡者”として姿を消す、と。

物語は数話完結のエピソードの集積で構成されていて、世界の断片を切り取りパズルのようにピースをはめていくことで徐々に全体像が見えていくという形をとっている。エピソードごとに登場する人々の人物像をくっきりと描き出しつつも、物語の底に流れる“悪意”によって彼らは病みあるいは闇に向かっていく。強靭な意志を持ち、職を辞してまでテンマを追う元刑事・ルンゲと、ヨハンの双子の妹ニナをキーマンに物語は二転三転していく。

昼の世界で生きる人々の描写で感じる精神的な闇の部分は、逃亡者としてテンマが出会うアンダーグラウンドの人々と対峙したときにのみ“当然のもの”として描かれる。牧歌的でステレオタイプな倫理観とポリシーをひたすら削り取られていくテンマに残された価値観は結局のところ“ヒューマニズム”だけだと。

当時の風潮的にバッドエンドでもおかしくない展開だったが、最終的には相手を理解し受け入れるという。そこに一縷の希望というか願望を見出していた姿勢を感じました。その結果は現在の作者が描いているので明言は避けます。


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クロスゲーム 3 [漫画]

クロスゲーム (3)

クロスゲーム (3)

  • 作者: あだち 充
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/03/17
  • メディア: コミック


漫画家、あだち充が描く野球漫画。

幼なじみは四姉妹!? スポーツ用品店の息子・樹多村光と、バッティングセンター&喫茶店「クローバー」の娘たちが繰り広げる、爽やかで少しせつない青春野球ストーリー!!


“野球を題材にした青春群像劇”(作者談)を代表作にするベテラン作家の新作。インタビューを拝読したところ、前作が諸事情で不本意な形で終わったため間をおかず新連載を開始、その際選んだ題材はパブリックイメージを代表する“高校野球”だった、ということらしい。

主人公の樹多村光は幼い頃幼馴染の女性を亡くし、彼女が語った彼への期待を忘れられず投手として地味にトレーニングを重ねていた。周りは彼女の死を契機に野球から遠ざかっていると思っていたが、ふとしたきっかけで積み上げた実力が露呈、紆余曲折あり高校の野球部へ入部。ところが1軍と“プレハブ組”と呼ばれるいわゆるファームに二分されあからさまな待遇の違いのある野球部、監督すらも違う環境で彼らは一軍昇格試験である練習試合を待つ。

この巻では野球部を取り巻く状況を割りとこまかく描いている。新たな登場人物も多数登場、顔見世は終わらず。技術と実力のみで形成された一軍は感情を排した練習方法で、妹の意思を主人公と同じように継いで女性ながらに投手として訓練してきたヒロイン・青葉の自信を根こそぎ奪い去る。そういった布石が敷かれ、次巻の練習試合へ、と。

今作は野球漫画としては前作となる“H2”とかなり読後感が違う。簡単に言えば、いつものとぼけた味わいを抑えてまでケレン味というか・・・“情感”を打ち出してくる。前作にあった透明感のある成功譚的趣ではなく、長い年月をかけて形成された思い出からくる主役周りの登場人物たちの中で共有する想い、それが下地になっているがゆえの物語におけるタメ、それがかなり色を変えているというか。逆にこの作者でなければ・・・透明感で中和しなければ現在では成り立たないのではないかと思うほど。これはもしかして技術や理論やカタルシスに偏った現行の野球漫画へのカウンターなんだろうか。


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華麗なる食卓 20 [漫画]

華麗(カレー)なる食卓 20 (20)

華麗(カレー)なる食卓 20 (20)

  • 作者: ふなつ 一輝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/04/19
  • メディア: コミック


漫画家、ふなつ一輝が描くカレー漫画。

カレー専門店を経営する父が蒸発し、つたない腕で店を切り盛りするも客足は遠のき畳むことを真剣に考える女子高生の下に、父の友人であるという青年・高円寺マキトが現れる。彼は世界中を放浪しカレーの技術のみを極めた料理人だった。彼の手助けで店は盛り返し、彼はその評判からさまざまな料理バトルに担ぎ出される羽目になる。そして。

長期連載ということで、物語は○○編と区切ったほうがいいような流れになっている。序盤からのほとんど伏線を張っていない自然な流れにより彼は東京を飛び出し全国を放浪することになる。スケベでお調子者ながら料理“だけ”は目を見張るものがあり、それを才能の発露ではなく経験から来る技術として=彼にとって当たり前のものとして描いてある部分が嫌味を感じない理由というか。この巻では、全世界を巻き込んだカレーコンテストに参加するというエピソードが編まれる。

今まで戦ってきた組織の一員となることで、父に会うという目的を達成しようとする主人公が描かれ、カレーコンテストの第一回戦・苦瓜(ゴーヤー)を使ったカレーというテーマでのバトルが描かれる。その辺りは緊迫感があっていいんだが、この巻は結構場つなぎの微エロ描写が多く、エロコメかよと突っ込みたくなることも。まぁ長いことやってるとそういう時もあるってことで。


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おせん 11 [漫画]

おせん 11 (11)

おせん 11 (11)

  • 作者: きくち 正太
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/23
  • メディア: コミック


漫画家、きくち正太が描く料理漫画。

老舗の料亭・一升庵へストーリーテラーの若者が就職するところから物語は始まる。ごく普通の価値観を持つ若者は、職場に流れる独特の価値観に驚き呆れ感心し感化され審美眼を磨いていく、と。そして、その価値観とは、古きを尊び・・・まぁ懐古主義ともいえるような、日本古来からの慣習の必然性と重要性の提示、人間関係における“信頼”の大切さや、料理における“手間”こそが重要という・・・こうして書いてみるとなんだかアレだが、そういった年寄りの説教めいた話を分かりやすく娯楽に昇華してあると考えてもらえれば。物事には摂理というものがあり、既存のものは現在までにそれなりの研鑽があって初めて成立しているんだよ、という意見ですかね。気風のいい姉御肌の主人公・半田仙こと通称“おせん”が毎度来客を料理でもてなし、料理を通したその見識を伝えることで彼らは開眼する、と。そんな数話完結の物語です。

料理はあくまで“テーマ”と“鍵”、という・・・いわゆる“美味しんぼ”形式を継承した作品になっているが、下町人情モノテイストがメインとなり、義理と人情(過去)をストーリーテラーの若者の(現在の)視点で観る=懐古するという作品。王道ではありえないが、独自色は強いかと。


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ラストイニング 8 [漫画]

ラストイニング 8 (8)

ラストイニング 8 (8)

  • 作者: 神尾 龍
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/01/30
  • メディア: コミック


漫画家、中原裕が描く高校野球漫画。

汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ! かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ヶ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!! 順調にブロック予選を突破し、目標とする夏の大会のシード権獲得に一歩前進した彩学。だがその頃、センバツ出場中の聖母学苑は、エース・明石に異変発生? 一方、鳩ヶ谷の過去を追跡中のフリーライター・蕨は、ついに大阪で核心に迫る男と出会うが…!?


ラストイニング=最後の打席、と銘打ったこの作品。詐欺まがいの営業をしていた元甲子園球児・鳩ヶ谷圭輔は古巣である出身校の野球部の存続の危機により召集され監督を務めることになる。高校時代清廉な理想を掲げその後身を持ち崩し辛酸を舐めた彼の価値観からくるトリッキーな育成方法と戦術、それによって野球部は確実に力をつけていく。甲子園に行けなければ廃部、その公約を守り通すために彼が起こす行動は。

この作品は毎巻感想を述べているのでいまさら言うこともないが、既存の高校野球漫画にある球児の視線から斬った作品ではないということで。あくまで主人公は監督の鳩ヶ谷、“元・球児”である彼が高校野球をどう観ているか、現役だった頃に見えていた価値観、技術やチームワークやらの“自分の身体性でどうにかなる問題”ではなく、指導する立場から見た“戦術”と、とりまく社会との折衷を含む処世などの瑣末な事柄、それをしのいでいくという部分が魅力の中心になっているというか。

この巻では、試合のシーンにおける彩学野球部の実力の向上と、ライバルに決定した強豪・聖母学苑の模様が描かれ、終盤は主人公・鳩ヶ谷の過去を洗っていくという流れに。聖母の監督との頭脳戦という伏線が敷かれる、と。優れた選手を多く抱え名声を持ち、エースが故障すれば花道を作りあっさりと負け次へつなげるという余裕からくる采配と、まったく同じタイプながら凡庸な選手をいっぱしに育て上げ使えるようにして甲子園へ行くことが目標である鳩ヶ谷の対比が描かれ・・・まぁ環境の違いで斬れるようにも描いてあるが。ただ、強大な敵ということではなくあくまで同等、レベルは一緒だが抱える選手の力量が違いすぎる、そういう描き方になっている。その辺は好き嫌いが分かれるところだと思うが。

次巻はすでに出ているので続きはそちらで。


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新吼えろペン 4 [漫画]

新吼えろペン 4 (4)

新吼えろペン 4 (4)

  • 作者: 島本 和彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: コミック


漫画家・島本和彦が描く漫画業界を題材にした作品。

連載を数本抱えたどこにでもいるありふれれた中堅漫画家・炎尾燃(ほのおもゆる)。アシスタントと共に完全燃焼の日々。漫画家の日常を業界の裏話を交えギャグに昇華した作品


基本的にこの作品は数話完結のエピソードをいくつか組んだものになっている。むやみやたらにアツイ熱血漫画家の主人公は“大人の事情”から来る内燃機関の暴走によって熱く詭弁を叫ぶ、と。パブリックイメージを言語化するならこういうことになるのだろうか。

だが、作品としての魅力は代弁者としての彼に感情移入してストレス発散するだけの作品ではないのだ。“会話の軽妙さ”つまり掛け合い漫才的台詞回しが非常に上手く、“絵”があるからこそ出来るシチュエーションによる笑い、それも上手い。3巻までは日常レベルだったが、この巻からはそんな御託は抜きにして続き物特有の財産である伏線や出来上がっている人物造形をフルに生かした内容になっている。引きの笑い、同じネタをポイント押さえて2度やるという笑い、そういうギャグも交え、テンションは前巻より上がっている。本領発揮ですかね。


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